8:アドレス110の腰下OH

2サイクルスクーターエンジンの構造はほとんど同じなので

一度覚えてしまうと他の車種にも応用が利きます。

ミッションが無いので構造は簡単ですが、やっぱり多少ノウハウがあると思います。

 

こんな状態で持ち込まれました。

工具:ロータープーラー

必要な部品はあらかじめ用意してもらいました。

クランク・ベアリング・オイルシール・ガスケット類

ピストンに傷が付いています。

ヘッドにも異物はさみ込みの傷が有ります。

ケース周辺の部品を外します。

ケース締めつけボルトを外してプラハンで軽くたたいたら分解しました。

固くて外れない場合は、専用プーラーで分割します。

工具:クランクケースプーラー(3本アーム)

簡単に外れたのは、シャフトが磨耗して痩せているためでした。

クランクも注文していて正解です。

異物はベアリング破損でした。大体ノーマルでも20000km過ぎると

怪しいです。「コー・・・」って異音が出てきたら早目に交換するとダメージが少ないです。

クランクシャフトはプレスで外しました。

工具:クランクケースプーラー(3本アーム)

ベアリングもプレスで外しました。

プレスが使えない場合は、ベアリングプーラーで外します。

工具:ベアリングプーラー

ベアリングは、クランクケースを電気コンロで暖め温度差で取りつけました。

その後、ベアリングごとケースを暖め、あらかじめ冷蔵庫で冷やしておいた

クランクシャフトを挿入するとすんなり入ります。

必要温度は約70度でした。

工具:電気コンロ

反対のケースも同様に取りつけます。

そのままボルトを締めるとクランクは押されて軽く回りませんので

センター出しを行います。方法は後から乗せた側のシャフトを

少し外側に、(0.02~0.05mm程度)引き抜きクランクが軽く回るように

調整します。

工具:専用プーラー

最後にオイルシールを打ち込みます。

失敗するとやり直しになりますので、あらかじめ作成しておいた専用の取りつけジグを

使って取りつけます。

*反対側はジグがないと後付けは困難です。

工具:オイルシール位置決めジグ

オイルポンプ駆動ギアは樹脂製のなので磨耗するとオイルポンプが回らず

エンジンが焼き付きますので、念のため新品に交換してもらう事になりました。

構造は簡単ですが、専用・特殊工具が多く必要なので

敷居は高いかな?気楽にハンマーだけでやっちゃうバイクやさんも

あるのも現実です(笑)